1.基礎控除の改正

1.基礎控除の改正

基礎控除の改正

1.基礎控除の改正
表1のとおり、合計所得金額に応じて基礎控除額が決まる方式に改正されました。
 表1 基礎控除額


(解説)
前年分までは合計所得金額が2,350万円以下の場合、基礎控除額は一律48万円でしたが、改正後は納税者本人の合計所得金額に応じて基礎控除額が異なることになります。
今までのイメージからすると、基礎控除額が所得金額によって変動することに違和感を持たれる方もあるかと思いますが、今回の改正ではまず、所得税法第86条の規定で基礎控除額を58万円と定め、追加的に租税特別措置法第41条の16の2の規定により合計所得金額に応じた加算額を上乗せして基礎控除額を決める建て付けになっています。
仮に、所得税法による58万円を「本来の基礎控除」、措置法による加算額を「上乗せ特例分」と呼ぶとすると両者の関係は表2のとおりとなります。
 表2 基礎控除の金額の内訳


このように合計所得金額に応じて基礎控除額が決まるわけですが、「本来の基礎控除」と「上乗せ特例分」という法律構成になったことで、以下のとおり注意すべき点が生じてきます。
1.表1及び表2のとおり、「上乗せ特例分」について、37万円は恒久的措置とされていますが、30万円、10万円及び5万円については令和7年分及び令和8年分までの時限適用とされており、上乗せ特例分の適用延長がなければ、令和9年分以降は合計所得金額が132万円超の場合、「本来の基礎控除」のみの58万円になります。
後掲の扶養親族等の所得要件の改正についても「本来の基礎控除」と「上乗せ特例の基礎控除」の建て付けが所得要件の判定に影響してきますので、改正の内容を十分理解しておいてください。


2.合計所得金額が2,350万円超の場合の納税者については今回の改正はなく、表1のとおりの基礎控除額となります。
(令和2年分の改正から適用されている規定のままです。)


3.所得金額調整控除の適用がある場合は各表の金額と異なります。



参考までに、収入が給与のみとした場合の収入金額に応じた基礎控除額は表3のとおりです。
(注)給与収入2,545万円超の場合の記載は省略しています。


 表3 基礎控除額(給与収入の金額ベース)